川はどこにあるのか?


 川を見る。次から次へと流れ去る水を見つめる。川はどこにあるのだろう? 川を自宅に持ち帰ることはできない。とすると川に実体はないのだろう。水が干上がれば、それは川ではない。つまり川が流れているのではなく、流れそのものが川なのだ。私の目の前にあるのは「川という現象」だ。


 打ち上げ花火を見る。一筋の光が天を目指し、爆発する。地面を揺るがす音と共に七色の炎が放射状に広がる。光の雫は重力に抗えず、垂れかかった涙のように闇の中へ消えてゆく。夜空に花火の残像が浮かぶ。花火もまた現象である。


 花を見る。やがて花は枯れる。遂に跡形もなくなる。花という現象。人を見る。人の一生を見る。やがて人は死ぬ。骨も消え去る。人という現象。私も川も現象である。実体はない。あるのは流動性だけ。変化こそ本質である。これを諸行無常という。