古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

自然淘汰によって作り上げられた適応

 ネコとネズミの闘争で、あなたは、ネズミの側についていたとしよう。ネズミは、ネコの匂いが大嫌いだという。ネコの匂いは、ネズミを神経過敏にさせ、大切なこと、たとえば、食べ物や、求愛行動や、生まれたての子ネズミに集中できなくなる。あなたは、匂いの感覚を鈍らせてもネズミがネコの匂いにこれ以上悩まされないようにする薬を知っているとしよう。あなたは、この薬を処方するだろうか。たぶんしないだろう。どんなにネコの匂いが不快なものであっても、ネコの匂いに気づく能力は、ネズミにとっては貴重な財産である。ネコの匂いがすれば、ネコの爪と歯がすぐに近づいてくることの合図だろうから、これらを避けることは、不快な匂いによるストレスよりもずっと大切である。


【『病気はなぜ、あるのか 進化医学による新しい理解』ランドルフ・M・ネシー&ジョージ・C・ウィリアムズ/長谷川眞理子長谷川寿一、青木千里訳(新曜社、2001年)以下同】

 ネコの匂いと同様に、発熱は不快だが役に立つ。発熱は、とくに感染と闘うために自然淘汰によって作り上げられた適応なのである。


病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解