12月になると、街にユーミンの歌声が溢れかえる。これは、もう10年も前から進行しているこの国の病気のようなものだ。
なかでも「恋人がサンタクロース」というあの不穏な主張を含んだ歌は、最も高い頻度で、まるでシュプレヒコールみたいに脅迫的な調子でスピーカーから連呼される。
「ふざけるな、女に尽くすだけが男の甲斐性だってのか?」
まだ20代だったころ、私はこの歌に出てくるサンタ野郎に大いに反発して、「恋人が編んだズロース」という替歌を作ったことがある。恋人のために毛糸のズロースを編む男の哀れな姿を描写した歌だ。
いい歌だった。
が、だれもほめてくれなかった。
何人かが片頬で笑っただけだった。
仏の顔もサンドバッグ