古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

桜井章一


 1冊読了。


 59冊目『運に選ばれる人 選ばれない人桜井章一東洋経済新報社、2004年)/桜井章一は、私が現代の阿羅漢と目する人物の一人。余白が多いため、「出版社に利用されたのか?」と思ったが、杞憂に過ぎなかった。蝶のようにヒラリヒラリと自由な思考が舞う。それにしてもいつも思うのだが、20年間無敗を誇る雀鬼がどうして読者に敬語を使うのだろう? ここに私は桜井章一の謙虚さを感じる。桜井は、見知らぬ誰かに対して自分の考えを述べているのだ。桜井は独善性とは無縁の人物だ。これほどの人物となるまでには、並大抵ではない葛藤があったことだろう。桜井はそれを黙して語ることがない。