イタリアのベルルスコーニ首相は6日、黒人初の米国大統領となるバラク・オバマ氏を評し「日焼けしていて格好いい」と発言したことから、野党陣営から批判が噴出している。
問題の発言が飛び出したのは6日ロシアで、同国のメドヴェージェフ大統領と会談後の記者会見においてだった。「イタリアはロシアにとって最大のパートナー」と会談の成果を強調したあと、このほど米大統領選に勝利したオバマ氏に言及。
そのなかで「オバマ氏は、素朴で若く、格好よく日焼けしている。(メドヴェージェフ)大統領といい関係が築けると信じている」とコメントした。会場にいた記者団からは即座に失笑がもれた。
この発言に対し、イタリアでベルルスコーニ首相の中道右派陣営に対抗する民主党のウォルター・ベルトローニ党首は「我が国のイメージを損ない、米国との関係に水を差すもの」と非難。同党のダリオ・フランチェスキーニ幹部も「言語道断の発言」と批判した。
これまでベルルスコーニ首相は欧州各国の首脳の中でも、共和党のブッシュ政権との強調関係を明言してきたひとり。そのため、民主党のオバマ次期政権とどのような再スタートを切るかが注目されていた。
同時にベルルスコーニ首相は、いわゆる「トンデモ発言」でも知られてきた。EUで議長国を務めた際、批判したドイツの議員に対して議場で「知り合いの映画監督に、ナチス将校の俳優として紹介しましょうか」と応酬したり、「選挙期間中はエッチ断ち」宣言などが過去に話題になった。今回も会場にいた記者団からは、即座に失笑がもれた。
ちなみに日焼けに関していえば、イタリアでは今日でも紫外線の被害に関する認識は一般的に日本よりも浸透していない。かわりに日焼けは「長い夏季休暇がとれる」というステイタスシンボルの意味合いが依然強い。ベルルスコーニ首相自身も、夏はサルデーニャ島にある別荘で過ごす。
今回のオバマ氏に対する発言は、第一に政治家が人種に言及する際の危機意識の欠如が露出したかたちだが、同時にそうした日焼けに対するイタリア人の認識も背景にあるといえる。
【レスポンス 2008-11-07】