古本屋の覚え書き

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騒音問題の「問題」

公園の噴水遊びは「騒音」――訴え認める/東京地裁支部


 東京都西東京市緑町3丁目の「西東京いこいの森公園」にある噴水で遊ぶ子どもの声やスケートボードの音がうるさいとして、近くに住む女性が市に対して噴水の使用とスケートボードで遊ばせることをやめるよう求める仮処分を申請し、東京地裁八王子支部がこれを認める決定を出していたことが分かった。決定は1日付で、市は2日から両施設の使用を中止している。
 市によると、噴水は地面に埋め込まれた噴水口から水が断続的に噴き出し、水の間を縫って遊べる構造になっている。女性の家は公園に隣接し、噴水からは数十メートルの距離にある。都条例で同地域の騒音規制基準は日中で50デシベルと定められているが、市が女性宅付近で測定したところ、噴水で遊ぶ子どもの声が60デシベルスケートボードの音が58デシベルと、ともに基準値を上回っていたという。
 女性は心臓などを患い療養中で、噴水で遊ぶ子どもの声などが精神的苦痛をもたらすと主張。これに対し、市は、子どもの声は基準値を超えても受忍限度を超える騒音にはあたらないと主張していた。
 決定書では、基準値を約10デシベル上回る現状は女性に苦痛をもたらしていると認め、市は工夫次第で子どもたちが歓声を発することのない形の噴水を設けることは可能だったとした。
 市は「決定に従って使用を中止したが、今後については弁護士と協議して、対応を検討していく」としている。
朝日新聞 2007-10-05】

2階の騒音に賠償命令=「子供のしつけ当然」東京地裁


 マンション上階で子供の騒ぐ音がうるさく、精神的苦痛を受けたとして、東京都板橋区の男性が子供の父親を相手に240万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、「騒音は受忍できる限度を超えている」として、36万円の支払いを命じた。
 中村也寸志裁判官は、当時3〜4歳だった男児がほぼ毎日、廊下を走ったり、跳びはねたりして大きな音を出していたと認定。深夜に及ぶこともあったとして、「騒音が夜間、階下に及ばないよう、父親は男児をしつけるのが当然だ」と述べた。
時事通信 2007-10-03】


 このニュースが耳目を引いた。


 ラジオ番組に寄せられた声だと、「子供は騒ぐのが仕事」「子供の声は、未来の日本の象徴であり、聞こえないと寂しくなる」などといった馬鹿げた意見が続出。更に、メディアでは「生活騒音が“裁判沙汰”になった」ことへの驚きを語る人物が目立った。訴訟する権利を侵害する愚行だと断じておこう。


 こうしたニュースが報じられると、必ずコミュニティの問題に摩(す)り替える手合いが出てくる。これも大きな間違いで、騒音による被害という現実を無視する方向に議論が向いてしまう。


 生活騒音の問題が投げかけているのは、“他者への想像力”である。知らず知らずの内に、他人に迷惑をかける場合があるということだ。


 などと考えながら、少しテレビのボリュームを絞った(笑)。