変な気持ちを真面目な行動に移した本である。誰もが今直ぐ実践できるフィールド・ワーク。
知らない人を尾行するという行為には、なんとも言い難い後ろめたさみたいなものがあるし、覗き見をしているようなトキメキもある。つまり尾行には、おおっぴらにはできないような秘密の楽しみがあるのだ。
普段からこのような意識の持主であるから、獲物の方も妙に面白い生態を見せるから不思議だ。デパートで見つけたオバサンを追い、高校生カップルを尾(つ)け、ホームレスの老人にくっついてゆく。その数、11名。
当然、時間に限りがあるから尾行は途中で打ち切られることになる。これがまた、淡い夢のような印象を残して読者の想像力をかき立てる。
「ヘヘーン」などとニタついて読んでるあなた、明日はあなたが尾(つ)けられる番かも?
ただ現在では、ストーカー規正法に引っ掛かるので、安易な実践はやめておいた方がいいだろう(笑)。