古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

『黒檀(池澤夏樹個人編集 世界文学全集 第3集)』リシャルト・カプシチンスキ/工藤幸雄、阿部優子、武井摩利訳(河出書房新社、2010年)



黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

 ポーランドの新聞・雑誌・通信社の特派員として世界各地を駆けめぐり、数々の傑作ルポルタージュを上梓した著者による、小説よりも奇なるアフリカ取材の集大成。数十万人が山刀で切り刻まれた大虐殺の要因を解説する「ルワンダ講義」や、現代アフリカ史上最も有名な独裁者の素顔に迫った「アミン」、アフリカ最大の青空市場の人間模様を描いた「オニチャの大穴」ほか、1958年にはじめて寒冷の地ヨーロッパから炎熱の地へと降り立った著者が、以後40年にわたってアフリカ各地を訪れ、住民と交わした生きた言葉をもとに綴った全29篇の文学的コラージュ。待望の本邦初訳。