- 監督・音楽・主演:クリント・イーストウッド
- 出演:ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン
嫌な映画である。私はこの作品の噂を聞いてラストシーンを完全に予想できた。ボクシングのサクセス・ストーリーと思わせておいて、かような展開にするたあ、あこぎが過ぎるんじゃあねえか?
だがその私ですらマギーにつけられたリングネーム「モ・クシュラ」の意味を知った時、涙を禁じ得なかった。
全く面白味に欠け、観客に対するサービス精神はゼロ。これは映画版“アメリカ自然主義文学”である。
フランキー(クリント・イーストウッド)は毎日教会のミサへ足を運び、牧師を挑発するような質問を投げ続ける。
この作品のテーマは、神に抗い続ける男と、トレーナーに父の愛を求めた女のドラマであろう。二人は神が与えた運命を拒絶した。どこにいるのかわからない神にすがるよりも、彼等は目の前にいる互いを信じた。それはまるで、イエスとマリアの立場を逆転させたような関係と化している。
しかし見終えた瞬間、全てが大いなる運命だったかのように感じてしまうのだ。
ああ、嫌な映画だ(笑)。