アフリカへの憧れ

 人類発祥の地とされるアフリカ。いまだ貧しき民が多く、政変に揺れる国も少なくないが、ドラムの響きや子供達の明るい表情に、日本以上の豊かな何かを感じることが多い。アフリカには“人間の輝き”がある。

 夜明けが前がもっとも暗いように、闘いも、終末に近づいたときに、もっともはげしくなる。


【K・エンクルマ『自由のための自由理論社


 20世紀のアフリカは揺れに揺れた。相次ぐ内戦・押し寄せる飢餓・大量の難民。独立国家の旗が次々と翻る。しかし、アパルトヘイト(人種隔離政策)の壁は厚かった。

 自由が銀の皿にのせられて、植民地国にわたされるようなことはありえない。自由は、はげしい、力強い闘いののちに、はじめてかちとられるのである。


【K・エンクルマ『わが祖国への自伝理論社


「この世に地獄があるとしたら、それは南アフリカの牢獄だ」。その牢獄で戦い続けた人間がいた。獄窓10000日を経てネルソン・マンデラは、尚も戦った。

 きみはつくりだす
 戦いの斧から 星々(ほしぼし)を
 子供たちの悲しみから 平和を


【『アジア・アフリカ詩集』土曜美術社】


 それにしてもアフリカの人間は美しい。色鮮やかな衣服、少女の耳に光るピアスは品が好いことこの上ない。眩しいばかりの笑顔には卑屈の陰がない。


 アフリカでは、椅子のない教室もある。自分の家から腰掛けを担いで通う少年もいる。床に座る子もいる。草原で学ぶ光景も珍しくない。それでも、一番欲しいものを訊ねられ「自由」と答える。


 1960年代に「21世紀はアフリカの世紀になる」と展望したアジアの詩人はこう語った。「奪われても、奪われても、命の陽気な鼓動を失わなかったアフリカのエネルギーに、強さに、英知に、世界が学ぶ時が来た」。


 以下にアフリカの英知ともいうべき言葉を紹介する――

 強くなることは わたしの夢
 強くなることは 武器
 強くなることは 叫び


【『アジア・アフリカ詩集』土曜美術社】

 考えよ! 懸命に勉強せよ!
 たゆみない努力をもって励め!
 今日ほど思想家を必要としている時はないのだ。偉大な思想をもつ思想家を!


【ガーナ大学の創設にあたって/エンクルマ大統領】

 わたしはドラムになりたい
「生」の力たちの歌をこだまするドラムに


【『アジア・アフリカ詩集』土曜美術社】

 一人のアフリカ人である私は、いま……平和と自由の声をもって、全世界に、新しい時代の夜明けを告げようとしているのであります……私たちは数知れぬ迫害と苦難のために鋼鉄のように鍛えられ、不屈の勇気の城塞となり、私たちのクサリを粉砕するために、鉄のような意志をかためているのであります。


【『我が祖国への自伝』理論社

 ガーナが能力と実力を 示すのは/その色彩や花においてではなく/その不思議な 魂の息吹である/その生命の 喜ぴであり/その惜しみなく与える/私心のない役割においてである。


【「ガーナは招く あがない主クワメ・エンクルマに棒ぐ」フリーダムウェイズ編『黒い巨人 W・E・B・デュボイス』山口書店】


 豊かな精神性は言葉に現われる。日本の青少年のボキャブラリーの少なさは実に無慙(むざん)という他ない。飽食の国からアフリカの精神を仰ぎ見て、己の貧しさを知る。