古本屋の覚え書き

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『生存する脳 心と脳と身体の神秘』(『デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』)アントニオ・R・ダマシオ/田中三彦訳(講談社、2000年)



生存する脳―心と脳と身体の神秘 デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫)
(※左が単行本、右が文庫本)

 1848年、米北東部の鉄道施設現場で事故が起き、鉄棒が現場監督フィネアス・ゲージの前頭部を貫通した。それを境にゲージの性格と行動は一変した。著者自身が携わってきた症例やゲージのような歴史的症例をもとに、著者は、日常生活の折々の場面で求められる合理的な意思決定には、そのときの身体状態と不可分に結びついている情動と感情の作用が不可欠であることを明らかにした(「ソマティック・マーカー仮説」)。神経科学の第一人者が、いまもさまざまな形で社会に浸透しているデカルト心身二元論を強く批判しつつ、有機体としての心−脳−身体の関係を解くベストセラー。新訳文庫版。