埼玉県上尾警察署には「人間」がいなかった

 いくらやっても私との距離をまるで詰めようとしない副署長。怒鳴っている私を無視して事務仕事に没頭する他の刑事や職員達。なんなんだここは。
 あの日、詩織さん達がここに相談に来て、絶望したのがよく理解できた。ここはまったくダメだ。「人間」がいないのだ。詩織さんは二つの不幸に遭遇した。一つは小松に出会ったこと。もう一つは上尾署の管内に住んだことだ。


【『遺言 桶川ストーカー殺人事件の深層』清水潔(新潮社、2000年/新潮文庫、2004年)】


遺言―桶川ストーカー殺人事件の深層 桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)
(※左が単行本、右が文庫本)