『箱根山』獅子文六(新潮社、1962年)



箱根山

 天下の険、名勝箱根山の観光開発をめぐり、運輸省を巻き込んだ二大資本の熾烈な争いは、第三の勢力の殴り込みで、さらに大混乱。駆引きと思惑が乱れとぶなか、伝統と格式を誇る地元老舗旅館は対立し、あおりをくらった若い二人の恋路も、いまや前途多難だ。西武、東急、藤田観光の世に名高い箱根開発戦争をモデルに、箱根の独得な歴史も織り込んだ、シリアスでユーモラスな企業小説の嚆矢的傑作。