ブッシュ前米政権時代に米中央情報局(CIA)がリビアのカダフィ政権と「対テロ戦争」や反体制派対策などで協力していたことを示すとみられる文書が首都トリポリの旧政府施設から見つかった。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が発見し、ロイター通信や欧米紙などが報じた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチのメンバーらが2日、トリポリにあるカダフィ政権時代のリビア情報機関の本部を訪れ、CIAと交換した大量の通信文書を発見した。情報機関本部はカダフィ派が放棄した後、反カダフィ派で作る国民評議会が掌握している。
04年の文書によると、当時リビア国外にいた現国民評議会司令官についてCIAは「いつでも拘束できる」とリビア側に報告。司令官はCIAに拘束され、「リビアに送還された後、当局に拷問された」と述べたという。ヒューマン・ライツ・ウォッチは「CIAは拷問される可能性を承知でリビアに協力していた」と問題視している。
また、米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国側は少なくとも8回、国際テロ組織アルカイダとの関係が疑われたテロ容疑者をリビアに尋問のために移送していたという。英紙インディペンデントによると、英情報機関MI6が英国内の反カダフィ派の動向をリビア側に伝達していた文書も見つかったという。
一方、中東の衛星放送アルジャジーラによると、ブッシュ政権で国務次官補を務めたウェルチ氏は先月2日、カイロでカダフィ政権当局者と面会。記録によると、ウェルチ氏は「アルカイダと(反カダフィ派)の関係を示す情報をイスラエル、エジプトなどの情報機関を通じて米政権に渡すように」「(カダフィ大佐は)退陣しても全権力を手放す必要はない」などと助言したという。