2010-09-26 二人のタタール人 抜き書き ある日、すごい学者が来たといってイブラヒムは井筒俊彦をモスクへと連れて行く。 「ムーサー先生」と井筒俊彦がいう人物こそ文字通りの天才だった。聖典とその周辺の書物はいうに及ばない。「神学、哲学、法学、詩学、韻律学、文法学はもちろん、ほとんど主なテクストは、全部頭に暗記してある」。原典を記憶していただけではない。注解書を複数覚えていて、かつ自分の意見があるという人物だった。 【井筒俊彦入門/慶應義塾大学出版会】