古本屋の覚え書き

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山崎豊子の盗作疑惑

 社会の暗部を鋭くえぐった小説の作者として評価を得て、「日本のバルザック」と呼ぶファンがいる一方、盗作疑惑が何度も指摘されている作家でもある。参考とした資料をほとんど脚色せず作品に反映させたため、盗作との指摘を資料の執筆者から何度も指摘を受けている。よって盗作問題については、「資料の引用」とするか、「盗作」と取るか意見が分かれる所である。
 フィクションに実話を織り込む手法は激しい批判を浴び、また「大地の子」をめぐって遠藤誉・筑波大学教授から自著「■子(チャーズ)―出口なき大地―」に酷似しているとして訴えられる(遠藤誉『■子の検証』明石書店を参照、なお訴訟自体は遠藤の敗訴が確定した)など、盗作疑惑がしばしば取りざたされた。1968年、『婦人公論』に連載中だった長篇小説『花宴』の一部分がレマルクの『凱旋門』に酷似していることを指摘された事件もその一つである。山崎は、秘書が資料を集めた際に起った手違いであると弁明したが、その後さらに芹沢光治良巴里夫人』や中河与一『天の夕顔』からの盗用も判明したため日本文芸家協会から脱退した(1969年に再入会)。1973年には『サンデー毎日』連載中の『不毛地帯』で、今井源治『シベリアの歌』からの盗用があるとして問題となった。


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