山川偉也、松田哲
2冊挫折。
『哲学者ディオゲネス 世界市民の原像』山川偉也(やまかわ・ひでや)/著者の名前だが山川エライヤかと思っちまった。ディオゲネスについては少し前から興味を抱いていた。ところが本書は学説を問う内容となっており、やたらと小難しい。70ページ余りで挫ける。
『外貨崩落 生き残る人は知っているもう1つのシナリオ FX、外貨預金、外貨投資信託 崩壊 円キャリー・トレード』松田哲/初心者向けだった。80ページでやめる。
テレビ通販、相談が昨年度は最多に…「契約・解約」7割超
国民生活センターは17日、テレビショッピングに関する相談が年々増え、2007年度は2251件と過去最高になったと発表した。
商品の特長が強調される一方、返品や使用上の注意についての情報が少なく、解約の相談が目立つという。
同センターによると、全国の消費生活センターに1998年度から今年11月までに寄せられたテレビショッピングに関する相談は計1万4539件。特に、2005年度以降は、毎年約400件ずつ増えている。相談者の66.9%は50歳代以上。商品別では、健康食品と化粧品が多い。
相談内容の77.7%は「契約・解約」に関するもの。北海道の40歳代女性は購入した補整下着のサイズが合わず、返品を申し出たが、認められなかった。
テレビショッピングは、現状ではクーリングオフ制度が適用されず、解約や返品方法は事業者に委ねられている。国民生活センターは「消費者は商品購入前に、返品の可否や条件を確認してほしい」としている。
【読売新聞 2008-12-18】
かつて無線は死者との通信にも使えると信じられていた/『黒体と量子猫』ジェニファー・ウーレット
・かつて無線は死者との通信にも使えると信じられていた
・レオナルド・ダ・ヴィンチ
・コペルニクスが引っ繰り返したもの
・コペルニクスは宇宙における人間の位置づけを変えた
・『量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突』マンジット・クマール
・『宇宙は「もつれ」でできている 「量子論最大の難問」はどう解き明かされたか』ルイーザ・ギルダー
・『すごい物理学講義』カルロ・ロヴェッリ
・『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』大栗博司
・『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由 フェルミのパラドックス』スティーヴン・ウェッブ
・『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』レオナルド・サスキンド
サブカルネタでぐいぐい読ませる科学史。ワンセンテンスが短く小気味いい。叩きつけるドラムのようだ。アメリカ物理学会の会員向け月刊誌の編集に携わっているだけあって、データも正確無比。
無線が発明された当初、電波とその仕組みを知る人は存在しなかった――
話が面倒なのは、当時電波が何であるのか、どのように働くかをだれも本当には知らなかったことで、マルコーニなどその最たるものだった。テスラでさえ、電磁波の一部ではなく、新しい波を発見したと思っていた。無線の送信は当時の人々にとって魔法のようなもので、無線には超自然的な力があり、死者との通信に使えるのではないかとまで考える人が多かった。トーマス・エジソンもかつて死者と話す電話を作ろうとしたし、都市伝説によれば、メリー・ベイカー・エディ(米国の宗教家でクリスチャンサイエンス教会の創立者)が埋葬されたときには、死の彼方から新しい説教を現世の人々に伝えられるように、電話もいっしょに埋葬されたということだ。
【『黒体と量子猫』ジェニファー・ウーレット/尾之上俊彦、飯泉恵美子、福田実訳(ハヤカワ文庫、2007年)】
ね、面白いでしょ。しかしこの話、面白いだけで終わらせるわけにはいかない。つまり、このエピソードが教えてくれるのは、「理論は後からついてくる」ということに他ならない。当時の人々の逞しい想像力を嘲笑うことは簡単だが、夢に胸ふくらませればこそ、新たな発明が成ったことを忘れてはなるまい。
既に亡き家族や友人と話ができれば、と思うことは多い。だがよく考えてみると、その内容は「ありがとう」といった類いの感謝の言葉しか思い浮かばない。そうであるならば、今自分の周囲にいる人々を大切にすべきなのだろう。多くの後輩を喪(うしな)って、今つくづくそう思う。擦れ違うような出会いが人生を彩る。愛別離苦は人の常なれど、出会いに感謝できる人は心美しい。
ストレスとコミュニケーション/『生きぬく力 逆境と試練を乗り越えた勝利者たち』ジュリアス・シーガル
・『「疑惑」は晴れようとも 松本サリン事件の犯人とされた私』河野義行
・『彩花へ 「生きる力」をありがとう』山下京子
・『彩花へ、ふたたび あなたがいてくれるから』山下京子
・ストレスとコミュニケーション
・死線を越えたコミュニケーション
・『夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録』V・E・フランクル:霜山徳爾訳
・『それでも人生にイエスと言う』V・E・フランクル
・『アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察』プリーモ・レーヴィ
・『イタリア抵抗運動の遺書 1943.9.8-1945.4.25』P・マルヴェッツィ、G・ピレッリ編
・『石原吉郎詩文集』石原吉郎
我が読書史に燦然と光を放つ一冊。心も身体もズタズタにされた人々は、どのように逆境を乗り越えたのか。心理学的なアプローチをしているのだが、答えは簡単だ。「この人を見よ」ということに尽きる。いずれも、“人類のモデル”となり得る雄姿だ。読むだけで生きる勇気を吹き込まれる。
「感情に圧倒されそうになったら、いつも大好きないとこに電話で話していたんです。そうしなければ、今日こうして生きていられなかったでしょう」と、癌を克服した患者が最近私に語ってくれた。
「2〜3日おきにトムと会って、昼食をとっていました。私が戦っている苦しみについて彼に話すだけで、生きていこうというガッツがわいてきたのです」これは、家庭や仕事が破局に陥りそうになった元アルコール中毒患者の言葉である。
危機的状況の中でよろめきながらも、それを切りぬけることができた人たちが、口を揃えて重要だと言うことがある。それは、コミュニケーションである。ただ一人の相手とでも、コミュニケーションを持つことは、生き延びていくための生命線となったのだ。
不幸なことに、強いストレスに直面すると、コミュニケーションがいつも通りに簡単にいくとは限らない。人生が危機にさらされると、私たちは、不思議なことに、友人や家族と距離ができて、人とかかわれないという感情を持つことが多い。そのような場合、私たちは次のような確信を抱くようになる。自分は一人で苦しんでいるんだ――誰もかまってくれない、自分のことを理解してくれる人は一人もいないだろう、と。そして、そのために、ますます引きこもるようになってしまう。
【『生きぬく力 逆境と試練を乗り越えた勝利者たち』ジュリアス・シーガル/小此木啓吾訳(フォー・ユー、1987年)】
「話す」は「離す」に通じる。つまらぬ見栄や体裁があるうちは「話せない」から、自分の中に「抱え込む」こととなる。抱え込んだ分だけ心は重くなる。重くなるから尚更話せなくなる。両手から背中まで荷物だらけだ。
そう考えると、人生を切り開く武器は、「何でも話せる友人」の存在なのかも知れない。時には弱音だったり、愚痴だったり、取るに足らない雑談のような代物であったとしても、「耳を傾けてくれる相手」が鏡となって自分の姿を照らしてくれるのだろう。その本質は「心がつながっている」という一点にある。
この話、もっと凄い続きがある。
・コミュニケーションの可能性/『逝かない身体 ALS的日常を生きる』川口有美子