・『銀と金』
・『賭博黙示録カイジ』福本伸行
・『福本伸行 人生を逆転する名言集 覚醒と不屈の言葉たち』福本伸行著、橋富政彦編
・『福本伸行 人生を逆転する名言集 2 迷妄と矜持の言葉たち』福本伸行著、橋富政彦編
43年生きてきたが、よもや、これほどの漫画に出くわすとは思わなかった。
私の心は痺れた。そして、魂を撃ち抜かれた。
「素人同士が刀で斬り合いをすると、みな腰がひけて刃(やいば)が人間に届かないそうだ。人を斬るには刃(は)で斬ろうとしてはダメで、柄(つか)で斬るくらいで、はじめて人間に刃が届くという。柄で斬る、つまり踏み込むということだ。真剣勝負というのはそういうもの。わしは踏み込み、森田君は退(さ)がった」(第6巻)
「理に頼ると、今と同じ過ちを何度でも繰り返す。永遠……。ギャンブルでの決定的瞬間で見あやまる。一歩先にある勝利をつかめない。とどのつまり、理ではダメなんだ。最後の一線は越えられない。では、何によって超えるかというと、狂気だ……! 最後の一線は……心に狂気を宿して、初めて越えられる……!」(同)
丸山健二も及ばぬ言葉の数々。
そして、私は第9巻末尾の邦男の科白(せりふ)を読んだ瞬間、本を閉じ嗚咽を漏らした。嘘偽りない話だ。そしてもう一度同じ科白を吐いた時、私は顔を本に当てて泣いた。
男であれば読め。女は読まなくていい。
今夜は眠れそうにない――。