『市場リスク 暴落は必然か』リチャード・ブックステーバー/遠藤真美訳(日経BP社、2008年)



市場リスク 暴落は必然か

 サブプライム危機が表面化する直前に出版され、「サブプライム危機を予言した書」としてウォール街で大きな反響を呼んだリスク管理のプロの手による警告の書。


 MITの経済学者から一転、時代の流れに乗ってウォール街に転じてデリバティブの開発に携わることになった著者は、1987年の株価大暴落であるブラックマンデーモルガンスタンレーで、ロシア危機を引き金とした1998年のヘッジファンドLTCM破綻はソロモンブラザーズで体験した。近年、頻繁に市場を襲うようになった金融危機の「犯人」は、「われわれ自身である」と著者は告白する。


 つまり、リスクを分散させるデリバティブなど金融技術の発展によって金融市場はますます「効率的」になり、新興国の経済発展などグローバリズムを加速させ、永遠の繁栄を手中にしたかに見えたのだが、実は大きな脆弱さを内部に抱え込むようになったという。なぜか? 本書は、ウォール街のインサイダーである著者が、自己の体験を振り返りながら、金融危機の「犯人」を追跡し、危機を防ぐための方策を提案する。


 日本に関してもかなり言及され、ソロモンの債券トレーダーとして一世を風靡した「シュガー」明神の金ぴかぶりや、金融危機で「優先株」を発行した邦銀の「ワナ」にひっかかり、大損した旧UBSのエピソードなども描かれている。