おひかり様(1950年2月11日)
長橋カツエ
前田秋子
今日おひかり様のことがもんだいになりました。おひかり様がいま村にはやっていることがもんだいになりました。みんなして、おひかり様にはいっている人が、「おひかり様にはいっていない人は昭和27年頃死んでしまう。」といっているそうですが、それはほんとうでしょうかということでもんだいになったのです。それに、おひかり様にはいると、田や畑にこやしもいらないというので、青年の中にも、どしどしはいろうという人さえでてきたことが話あいになったのです。おひかり様が、ほんとに病気をなおしてくれるのでしょうかと話をして、みんなに、「おひかり様はほんとだろうか。」ときいて、みんな、「うそだ。」といったので、決議文をつくって村にはることにきめました。壁しんぶんにすることにきめたのです。その決議文をかいておきます。
〔村にはった文章〕
おひかりさま
おひかりさまのことが私たちの学級で問題になりました。おひかりさまにはいると肥料をいれなくとも米がとれるということはほんとうでしょうか。それがほんとうだとすれば、八貫目の炭を背負ってもおひかりさまにはいっている人は、ほかの人よりもかるくなるじゃないかということでみんなで笑いました。
ほんとにおひかりさまはよいものでしょうか。
私たちの組で、「おひかりさまに賛成できる人」といったら、だれもいませんでした。
かぞえてみると、山元村では、30人もはいっているようです。1人で1万円以上かかるそうです。1人平均1万円かかったとしても、30万円もおひかりさまの札をかったことになります。山元村の今年の学校予算は14万6623円です。
こういうふうにくらべて見て、このおひかりさまのことについては、村の人はもっと考えて見なければならないのではないでしょうか。
(山元中学校2年自治会決議)