古本屋の覚え書き

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記者クラブ制度の問題をカレル・ヴァン・ウォルフレンは20年前から指摘していた

 記者クラブは公式に検閲がおこなわれていた戦時中に出現したもので、ジャーナリストとその取材対象である〈システム〉側の各組織体とが共生するための制度化された機関である。


【『日本/権力構造の謎』カレル・ヴァン・ウォルフレン/篠原勝訳(早川書房、1990年/ハヤカワ文庫、1994年)以下同】

 その数400を数える記者クラブは、すべての省庁、政府機関、日本銀行自民党、警察、経済団体など、日本を円滑に運営していく役目を担う、ありとあらゆる機関や人物に付随して設置されている。記者クラブに出入りするのは160以上の報道媒体を代表するおよそ1万2000のジャーナリストである。クラブを通さずに、主要機関からほんとうのニュースを収集するのは難しい。実質的には不可能なときすらある。日本でおこなわれる正式の記者会見は、こっけいなくらい、演出されたものである。

 こうした記者クラブは、かなり排他的で、在日外国記者協会の代々の会長の10年以上の交渉のかいもなく、外国人ジャーナリストには、記者クラブの多くが門を閉ざしたままである。


日本 権力構造の謎〈上〉 (ハヤカワ文庫NF) 日本 権力構造の謎〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)