古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

米で警官殺害計画、キリスト教過激派団体9人起訴

 米国で「キリスト教戦士」を名乗る過激派武装グループ『フタリー』のメンバー9人が、警察官を殺害し、葬儀を爆破する計画をたてていたとして、扇動共謀罪大量破壊兵器使用未遂罪、爆発物の使用方法を教示した罪、暴力的不法行為時の銃所持などで起訴された。同グループは米政府に対する武装蜂起を起こすことを標榜していた。
 3月29日に公表された起訴状によると、この武装組織『フタリー』は警察官を連邦政府の「歩兵」とみなし、またグループの信念に賛同しない者や、湾岸戦争終結後に当時のブッシュ大統領が提唱した「新世界秩序」に反対し、その支持者をすべて敵とみなしていたという。ウェブサイトの自己紹介欄では「我々は、預言者が語るようにある日、反キリストが現れると信じる。全てのキリスト者は、キリストが命令されたように、このことを覚え、それに備えなければならない」と記すほか、終末論的な世界観に基づいた文書を多数掲載している。
『フタリー』は少なくとも2008年から訓練を続け、警察官を殺害してその葬儀を手製爆弾で攻撃する計画を立てていた。計画実行後には複数の「結集地」の一つに退却、「政府に対して開戦し、仕掛け線や爆破装置のついた対人簡易爆発物や奇襲、構築した陣地などを使って徹底抗戦する」計画だったという。
 連邦捜査局(FBI)は、同グループが4月に「隠密偵察作戦」を予定しており、これを妨害する人を殺害する計画を立てていたため、9人が居住していたミシガン、オハイオインディアナの各州で強制捜査したと説明している。
 米国内のヘイトグループ(人種や宗教に基づく差別・排斥を扇動する集団)に関する調査を行っている人権団体『南部貧困法律センター』(SPLC)によると、2008年に149団体だった過激な反政府主義と陰謀論を掲げる過激派グループや武装民兵組織は、09年には512団体に増えている。


CJC通信 2010-04-05

木佐森吉太郎、ジョン・パーキンス


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折25『新版 株式罫線の見方使い方 投資家のための戦略図』木佐森吉太郎〈きさもり・きちたろう〉(東洋経済新報社、1969年)/いまだに版を重ねている古典本。文章に独特の臭みがある。私は肌が合わない。テクニカルの基本について書かれているのだが、売り方vs買い方の兵法といった趣あり。日足チャートの物語としてはやや単純すぎやしないか? 「行き過ぎた解釈」というのが私の所感だ。マーケットがグローバル化した現在、どこまで通用するのか検証が必要だろう。


 51冊目『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス/古草秀子〈ふるくさ・ひでこ〉訳(東洋経済新報社、2007年)/一気読み。翻訳が非常にいい。「ヒットマン」とは殺し屋のことである。アメリカは10年に一度の割合で大きな戦争を仕掛け、米軍が破壊し尽くした後で、アメリカ企業が復興支援という名目で金儲けをする。ところがそれだけではなかった。最初に動くのはエコノミック・ヒットマンと呼ばれるビジネスマンなのだ。彼等が発展途上国のインフラ構築を売り込み、世界銀行IMFからの融資を促す。目的は一つ。相手国を債務超過に追い込むことだ。政府首脳がどうしても聞き入れない場合は「ジャッカル」の登場となる。正真正銘のヒットマンだ。それが失敗すると最終手段として戦争が行われる。西水美恵子著『国をつくるという仕事』を読んだ人は必読。尚、ジョン・パーキンスは『Zeitgeist Addendum/ツァイトガイスト・アデンダム』にも登場している。

国際刑事裁判所(ICC)の設立に反対するアメリカ

 1998年にはローマで国際刑事裁判所ICC)の設立が賛成120カ国、反対7カ国で採択されたが、これに反対票を投じたのがアルジェリアリビアカタール、イエメン、中国、イスラエル、そしてアメリカである。国際刑事裁判所とは集団虐殺等の非人道的な行為を犯した個人を裁くことを目的とする常設の国際機関だが、これに対しアメリカは「アメリカが支持できるのは国連の安全保障理事会が要請した案件のみを扱う裁判所だ」として反対した。安全保障理事会の決議ならアメリカは拒否権を有しているからである。「アメリカ政府が認めない限り、アメリカ人を裁くことは許さない」というこの態度は、世界中の人権擁護団体を激怒させた。さらに、ウィリアム・コーエン国防長官(当時)は、国際刑事裁判所裁判権を制限したアメリカ案を支持するように、他国へ圧力をかけた。「アメリカ案に賛成しなければ、米軍はあなたの国の領土を守らない」と脅したのである。


【『世界反米ジョーク集』早坂隆(中公新書ラクレ、2005年)】


世界反米ジョーク集 (中公新書ラクレ)

『危険な歌 世紀末の音楽家たちの肖像』八木啓代(幻冬舎文庫、1998年)



危険な歌―世紀末の音楽家たちの肖像 (幻冬舎文庫)

 キューバ革命からペルー大使館人質事件まで、政情不安と経済難にあえぐ中南米の国々。しかしその一方で、ステップを踏んで人々は歌う。彼らにとっての歌とは癒しなのか、それとも武器なのか。メキシコ、キューバ、チリ……。あてどない放浪の道程と、アーティストたちとの心のふれあいを綴った、一人の日本人女性シンガーによる音楽紀行エッセイ。