小田雅久仁


 1冊挫折。


 挫折10『増大派に告ぐ』小田雅久仁〈おだ・まさくに〉(新潮社、2009年)/第21回ファンタジーノベル賞受賞作品。時を同じくして前原政之さんと、橋本大也さんが褒めていたので読んでみた。前原さんが書いているように、比喩・置き換えは確かに素晴らしい。お見事である。しかしながらテンポが悪い。あらすじの行方がわからなくなっている。積み上げられた細部、といった印象。それと舜也の視線が完全に大人のものとなっているところがおかしい。三人称と一人称が入り混じっているのも違和感を覚えた。わかっている。私に堪え性がないだけの話だ。54ページで挫ける。でも、次の作品は必ず読もうと思う。


 世界が原子で構成されているなら、「私」という存在は原子と原子の間で揺れる波のようなものだろう。飛沫は失った何かである。そして私は瞬間瞬間の変化を拒絶しながら、昨日までの自分の形状にこだわっているのだ。私は寄せるだけで、返す波は別人である。今、「私」という現象があるだけに過ぎない。

文庫化『生かされて。』イマキュレー・イリバギザ(PHP文庫、2009年)



生かされて。 (PHP文庫)

 1994年、「永遠の春」と呼ばれたルワンダで大量虐殺が起こった。人口比9割のフツ族が突如ツチ族に襲いかかり、100日間で100万人の人々を殺したのだ。牧師の家の狭いトイレに7人の女性と身を隠した著者は、迫り来る恐怖と空腹に負けず、奇跡的に生き延びた。祈りの力によって、希望の光を灯したその後の彼女は、虐殺者たちをも許す境地に達する……。心揺さぶる感動の書、待望の文庫化。

「これが青春だ」布施明


 絵に描いたような美しい青春。どこにもないユートピアを歌ってのけるところが素晴らしい(笑)。青春とは開き直りの異名でもある。昭和42年(1967年)のヒット曲。



 で、こっちが原盤――




決定版 布施明

民野健治/週刊朝日2/12号「子ども”人質”に女性秘書『恫喝』10時間」の記事で、久しぶりに怒りが込み上げた!

資本主義は大脳辺縁系へ方向転換した

 ドラッグ商業とその影響は成熟した資本主義が大脳辺縁系へ方向転換した証拠で、消費者の物質的な欲求とは対照的に、ますます多くの関心が娯楽や感情的な満足に向かっていることを示す。人類学者ロバート・アードリーの言葉を借りるなら、ドラッグ商業は飢えた胃袋が飢えた精神に置き換わる世界で花開いたのである。


【『ドラッグは世界をいかに変えたか 依存性物質の社会史』デイヴィッド・T・コートライト/小川昭子〈おがわ・あきこ〉訳(春秋社、2003年)】


ドラッグは世界をいかに変えたか―依存性物質の社会史