古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2010年1月のアクセスランキング


順位 記事タイトル
1位 日本は「最悪の借金を持つ国」であり、「世界で一番の大金持ちの国」/『国債を刷れ! 「国の借金は税金で返せ」のウソ』廣宮孝信
2位 そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記』ウィリアム・ノースダーフ
3位 アインシュタインを超える天才ラマヌジャン/『無限の天才 夭逝の数学者・ラマヌジャン』ロバート・カニーゲル
4位 郷原信郎:民主主義国家で政治家が言いがかりのような事件で潰されることは絶対にあってはならない
5位 クリシュナムルティとの出会いは衝撃というよりも事故そのもの/『私は何も信じない クリシュナムルティ対談集』J.クリシュナムルティ
6位 少年兵は流れ作業のように手足を切り落とした/『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』後藤健二
7位 ジニ係数から見えてくる日本社会の格差/『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵』北村慶
8位 ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記レヴェリアン・ルラングァ
9位 その男、本村洋/『裁判官が見た光市母子殺害事件 天網恢恢 疎にして逃さず』井上薫
10位 『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』その後
11位 獄中の極意/『アメリカ重犯罪刑務所 麻薬王になった日本人の獄中記』丸山隆三
12位 ミッキー安川のずばり勝負/宮崎正弘、佐藤優
13位 信用創造のカラクリ
14位 巧みな介護の技/『古武術介護入門 古の身体技法をヒントに新しい身体介助法を提案する』岡田慎一郎
15位 輪廻転生からの解脱/『100万回生きたねこ佐野洋子
16位 エレクトーン奏者maruさん情報
17位 2009年に読んだ本ランキング
18位 経頭蓋磁気刺激法(TMS)/『脳から見たリハビリ治療 脳卒中の麻痺を治す新しいリハビリの考え方』久保田競、宮井一郎編著
19位 日垣隆が文雅新泉堂をこき下ろしていた
20位 精神障害者による犯罪の実態/『偽善系II 正義の味方に御用心!』日垣隆

小沢問題で検察リークに踊らされるメディアへの危惧


 既にメディアから干されつつあると、上杉本人がラジオで語っている。

 昨年3月、西松建設事件の発端となる大久保秘書の逮捕された直後、筆者はフジテレビの報道番組『新報道2001』に出演した。
 当日のゲストは、宗像紀夫・元東京地検特捜部検事と、笹川尭自民党総務会長(当時)、小池晃共産党政審会長などであった。
 大久保秘書の逮捕について発言を求められた筆者はこう語った。
「私自身、議員秘書経験がありますが、その立場からしても、政治資金収支報告書の記載漏れでいきなり身柄を取るのはあまりに乱暴すぎるように思う。少なくとも逮捕の翌日から、小沢一郎代表(当時)はフルオープンの記者会見で説明を果たそうとしているのだから、同じ権力である検察庁も国民に向けて逮捕用件を説明すべきだ。とくに記者クラブにリークを繰り返している樋渡検事総長と佐久間特捜部長は堂々と記者会見で名前を出して話したらどうか」
 筆者は、当然のことを言ったつもりでいた。ところが、番組放送終了後、笹川総務会長が烈火のごとく怒っていた。私に対してではない。番組の幹部に対してである。
「あんなやつを使うな! あんなのとは一緒に出ない」
 昼過ぎ、スタジオを出た筆者の元に検察庁担当の社会部記者から電話が入った。
「お前まずいぞ、(検察側の)実名を出しただろう。『調子に乗りやがって』と、検察は怒っていたぞ。心配して言ってんだ。本当に、気をつけた方がいいぞ」
 彼の話によると、本気でやろうと思えば、痴漢だろうが、交通違反だろうが、あらゆる手段を使ってでも、狙われたら最後、捕ってくるというのだ。たとえば道を歩いていて、他人の敷地に間違えて足を踏み入れただけで不法侵入の疑いで持っていかれるかもしれないということだった。


週刊 上杉隆/2010-01-21

メアリー・ルティエンス、井村和清


 2冊読了。


 15冊目『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス/高橋重敏訳(めるくまーる、1990年)/伝記三部作の最終章。1980年から亡くなるまでの6年間が綴られている。読み物としては少しも面白くない。多分、資料が多過ぎたせいだろう。内容が散漫な上、人物像の全体性が浮かんでこない。だがこれは、メアリー・ルティエンスだけの責任とは言えない。クリシュナムルティは組織を作らなかったために、思想の広まる様子がつかみにくいことを見逃すわけにはいかないだろう。ロスアラモスの国立研究調査センター(原子爆弾の開発を目的として創設されたアメリカの国立研究機関)での講話は真剣勝負そのもので、微塵の妥協も許さぬ内容であった。いずれにせよ、この三部作はスピリチュアル色が強いので、しっかりとクリシュナムルティの思想を学んでから読むことを勧める。



 16冊目『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ 若き医師が死の直前まで綴った愛の手記』井村和清(祥伝社ノンブック、1980年/祥伝社、2005年)/30年前のミリオンセラー。田坂広志の講演“なぜ、我々は「志」を抱いて生きるのか”で紹介された件(くだり)を確認するために読んだ。31歳で死んでゆかねばならなかった医師が、2歳の娘と身ごもった子へのメッセージを綴った遺稿集。元々は私家版だったとのこと。井村和清は最後の最後まできれいな生き方を貫いた。私は彼よりも15年多く生きているが、そのこと自体が恥ずかしく思えた。長女も既に彼より長生きしているのだ。10代、20代の若者に読んでもらいたい作品である。

喜べることは常にある

「あのね、ナンシー、あたしはいま知らないうちにやってたのよ──やっていることに気がつかずにね。ときどきそういうことがあるのよ。なれてくるとね──なにかしら喜ぶことを自分のまわりから見つけるようにするのよ。だれでも本気になってさがせばきっと自分のまわりに、喜べることがあるものよ」


【『少女パレアナエレナ・ポーター村岡花子訳(角川文庫、1962年)】


少女パレアナ (角川文庫クラシックス)