古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

『わたしのせいじゃない せきにんについて』レイフ・クリスチャンソン

 20ページ余りの小振りな絵本だ。レイフ・クリスチャンソンはスウェーデンの作家。この作品は「あなたへ」と題したシリーズの6冊目。大人が読んでもギョッとなる。一人ひとりの言いわけがリアル。日常の小さな無責任が、時として恐ろしい現実につながることを見事に表現している。世界中で起きている悲惨な殺し合いが、「見て見ぬふり」によって支えられていることを教えてくれる。人権が無視される人がいれば、その世界に住む全員が糾弾されて然るべきだ。レイフ・クリスチャンソンは静かに、断固たるメッセージを放っている。