円高は日本人の労働時間が世界で一番高く評価されている証拠
新聞やテレビは「円高で輸出産業が悲鳴」「円高不況で失業」なんて不利な点ばかりを伝えるけれど、実は、この円高というのはものすごく素晴らしいことなんだよ。
どうすごいかと言うと、要するに、われわれ日本人の労働時間が世界で一番高く評価されるようになってきたわけで、われわれの購買力が世界一高く評価されているということなんだ。
その世界一の購買力をもってすれば、世界中のいろいろな企業を買うことだってできる。まして今は世界大不況で株価は低迷し、円は世界中で一番強い通貨になりつつあるからだ。
世界中に埋蔵されている資源を押さえたりすることも可能だ。(中略)
そもそも円高不況というのは、低賃金労働で輸出に依存している貧乏国の発想だね。
要するに、低賃金で物をつくって輸出している国ほど自国通貨が高くなるのは困るわけだね。お隣の人口大国シナ(中国)は今、まさにそれで困っている。
誕生も死も科学的に管理されている
科学に管理されるに至ったのは死だけではない。誕生もそうだ。現在ではほとんどの赤ちゃんは病院で生まれる。ところが、ある大病院の産科では、朝の9時から夕方の5時の間にしか生まれないという。産婦人科の学会のある日には一人も生まれなかったりするのである。つまり、生まれてくる日も時間も、陣痛促進剤によってコントロールされているのだ。
今、若者や子どもが荒れていると言われている。すぐキレる、待てないというのが特徴だという。これは無意識が荒れているとしか思えないではないか。
人の無意識はいつ形成されるか。母親の胎内にいるときと2歳までだと言われている。子供たちは体内にいるときから待ってもらってないのだ。ちゃんと成熟して母親の産道を苦しみながら出てくるという体験をさせてもらえないのである。
陣痛促進剤に無痛分娩、帝王切開という専門的で科学的な出産方法が都会で急に増え始めたのが、荒れる若者たちが誕生した頃からではないか、というのは門外漢である私の推論であるが、この説を聞いた関係者の多くが「そのとおりなんですよ」と言うのである。
(※左が単行本、右が文庫本)