古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

竹田青嗣


 1冊読了。


 64冊目『現代思想の冒険竹田青嗣〈たけだ・せいじ〉(毎日新聞社、1987年/ちくま学芸文庫、1992年)/デカルト、カント以降の哲学を俯瞰する内容。現代思想の変遷(へんせん)がわかりやすく紹介されている。どこを読んでも閉塞感が漂っている。哲学者とは巨大な触覚を持つタイプの人々で、感受性が敏感過ぎて一歩も動いていないように見受けられる。クリシュナムルティを知ってしまった後では退屈な議論にしか思えない。彼等は考えるよりも、飢餓や貧困に我が身をさらすべきだろう。竹田の思考もタコつぼにはまっているようにしか見えない。私にとって哲学とは過去の遺物であることがよくわかった。わかりにくい言葉、伝わらない言葉には力がない。真理があるとすれば、それはもっとシンプルで単純なものだろう。

第1四半期のスペイン失業率、20.05%に上昇=新聞

 スペインの日刊紙ABCによると、第1・四半期の同国の失業率は20.05%(461万人)だった。同紙は、これは30日に発表予定の公式統計で、26日に統計局のホームページに誤って数分間掲載されたと伝えている。
 ロイター調査では19.6%と予想されている。
 昨年第4・四半期の失業率は18.8%だった。


ロイター 2010-04-27

サラエヴォ紛争を生きた少女

「戦争が始まって一年半の間が、人生最悪の時だったわ。私は家から一歩も外へ出られなかった。自分の部屋にさえ危険で入れなかった。私の家ではトイレと廊下が一番安全だったから、そこで一か月も過ごしたの。水も電気もなくって、大切な友人が何人も死んで……。精神的にもほんとうにつらかった」(2年半をサラエボで過ごしたサビナ・タビッチ 17歳)


【『失われた思春期 祖国を追われた子どもたち』堅達京子〈げんだつ・きょうこ〉(径書房、1994年)】


失われた思春期 祖国を追われた子どもたち

静かな配慮

 ひと月ほどたって、籍をいれたよ、その報告を聞かされた際も、そうか、と答え、なにもたずねはしなかった。こちらから話題を変えた。するとふいに柿島がいったのだ。堀江、きみは人のこころがわかる人間だな。私は聞かなかったふりをして世間話をつづけた。


【『名残り火 てのひらの闇II』藤原伊織文藝春秋、2007年)】


名残り火―てのひらの闇〈2〉 (文春文庫)