2010-05-02 静かな配慮 抜き書き ひと月ほどたって、籍をいれたよ、その報告を聞かされた際も、そうか、と答え、なにもたずねはしなかった。こちらから話題を変えた。するとふいに柿島がいったのだ。堀江、きみは人のこころがわかる人間だな。私は聞かなかったふりをして世間話をつづけた。 【『名残り火 てのひらの闇II』藤原伊織(文藝春秋、2007年)】 藤原伊織