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万能細胞の「死の舞」発見 再生医療に貢献、理研

 細胞死が起きるため培養が難しいヒトの胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)が、死ぬ前に「死の舞」という独特の激しい動きを示すことを理化学研究所(神戸市)のチームが発見、その仕組みを明らかにし、6日付の米科学誌セル・ステム・セルに発表した。
 理研笹井芳樹グループディレクターは「死の舞が起きないようにすれば培養効率を上げられ、神経や網膜の細胞を再生させる医療への応用に貢献できる。安全性向上にも役立つ」としている。
 あらゆる組織の細胞になることができるヒトのES細胞やiPS細胞などの万能細胞はストレスに弱く、1細胞ずつばらばらに培養すると99%の細胞が死に、臨床応用への障壁になっている。
 チームは万能細胞が死ぬ前に、数時間にわたって水ぶくれのような構造ができたり消えたりした後に破裂する死の舞を発見。マウスの万能細胞ではこれが起こらず、霊長類に特有の動きだった。
 死の舞の際、細胞の運動や形を調節するミオシンというタンパク質が過剰に働いていた。ミオシンを抑える薬剤を加えて培養すると、死の舞が起こらなかった。


47NEWS 2010-08-07