古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

死体の匂い

 肉体が活動を停止すると、たまった体液が放出される。死体を扱うのに最適なのは体液がしみ出る前だ。死後硬直が始まると、死体は膨張して大きな黒い水泡になり(ルイジアナの情け容赦ない暑さではそのスピードが速い)、しまいに皮膚がはじける。そのときの匂いは、味になる。わたしは死の味が舌や喉や肺をびっしり覆ってしまうとは知らなかった。煙草を吸ってもだめだった。コーヒーや、思いつく中でもっとも刺激の強いアルコール、ストレートのジンですすいでもだめだった。死体に触れたあと何日間も死を味わわされた。


【『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド駒月雅子訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2006年/ハヤカワ文庫、2008年)】


あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(※左がポケミス、右が文庫本)

ポール・アンダースンが生まれた日


 今日はポール・アンダースンが生まれた日(1926年)。アメリカのSF作家。ヒューゴー賞を7度、ネビュラ賞を3度受賞。多作でありながら「はずれのない作家」と言われる。「リアリティーを高めるため、常に五感のうちの三つ以上に言及する」という独自の手法を持っていた。


タウ・ゼロ (創元SF文庫) 折れた魔剣 (ハヤカワ文庫 SF (1519)) 究極のSF―13の解答 (創元SF文庫)

アンドリュー・カーネギーが生まれた日


 今日はアンドリュー・カーネギーが生まれた日(1835年)。アメリカの鉄鋼王。「富を持って死ぬことは不名誉である」と主張し、死ぬ前年までに寄付した総額は、3億5069万ドルに達したと言われている。カーネギー・ホールカーネギーメロン大学などが有名。


カーネギー自伝 (中公文庫BIBLIO) アンドリュー・カーネギーのビリオネア養成講座(CD付)