古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

シエラレオネ反政府軍に使われた少年兵は5000人以上

 初めのうち、人数の少なかった反政府軍は兵士の数を増やそうと、村という村をおそって、子どもたちをさらって行きました。
 そして、ジャングルで子どもたちを兵士にするように訓練したのです。大人とちがって、武器を持っていなければ子どもたちは相手からあやしまれることはありません。相手を偵察するスパイ役にはもってこいです。
 また、体が小さくすばしっこい子どもたちは、遠くの敵からは攻撃されにくく、大人の兵士よりも活躍します。そのため、たくさんの子ども兵士が戦闘の最前線に送りこまれることになりました。
 兵士になった子どもたちは、大人の兵士に教えられたとおりに村をおそい、家を焼きはらい、人々の手足を切り落とす戦闘マシーンになって行きました。
 反政府軍に使われた子ども兵士の年齢は10歳から16歳。その数は、5000人以上と言われています。


【『ダイヤモンドより平和がほしい 子ども兵士・ムリアの告白』後藤健二汐文社、2005年)】


ダイヤモンドより平和がほしい―子ども兵士・ムリアの告白

龍樹「縁起なるものそれを空性と呼ぶ」

 縁起なるものそれを空性と呼ぶ。それ(空性)は仮説であり、中道である。(『中論』二十四章第一八偈)


 ここで龍樹が「縁起」と呼ぶものは現象世界であるが、厳密にいうならば言葉によって表現された世界のことである。例えば、「人が歩く」という言葉(命題)によって表現されている人と歩く動作とは、縁起の関係にあると龍樹は考えた。「人が歩く」とう縁起の世界(現象)は、究極的な立場では空性()であり、そこでは言葉は止滅(しめつ)しているという。


【『最澄空海 日本仏教思想の誕生』立川武蔵〈たちかわ・むさし〉(講談社選書メチエ、1998年)】


最澄と空海―日本仏教思想の誕生 (講談社選書メチエ)