島根県警松江署の署員がパトカーで巡回中に通行禁止区域を走行し、交通違反の反則切符を切られていたことが11日、松江署への取材で分かった。この道路では昨年も同署の別の署員が同様の違反をして、反則切符を切られていた。
松江署によると、地域課の男性警部補が10日午前7時35分ごろ、松江市内をパトカーで巡回中に、同市山代町の市道から交差点を左折し別の市道に進入。曲がった先の市道は午前7時から同8時半までの時間規制で通行禁止となっていたが、そのまま走行した。
通り掛かった付近の男性がパトカーを呼び止めて違反を指摘。警部補は、交差点付近に設置されていた通行禁止の標識を確認すると違反を認めた。間もなく交通課の署員を自ら無線で呼び、その場で交通反則切符を切られた。
パトカーには警部補のほか、男性巡査も同乗していた。2人とも規制標識を見落としており「標識に気付かなかった」と話しているという。同署は2人を口頭で厳重注意した。
昨年6月にも同じ場所で別の署員が同様の違反をし、目撃した女性が同署に通報。署員は反則切符を切られている。
道路交通法では、通行禁止の道路を走行した場合、違反点2点と、反則金7000円(普通車の場合)の罰則が科される。警部補はパトカーで乗務中だったとはいえ、赤色灯などは点滅させていなかったため、一般車両を運転時と同様の反則処分を受けることになる。
広瀬勉副署長は「標識をきちんと見れば分かること。指導を徹底し再発防止に努める」としている。
昨年5月には横浜市で空き巣の現場に駆けつけた神奈川県警金沢署員が、法定駐車禁止場所である交差点にパトカーを駐車し、駐停車禁止違反で反則切符を切られている。
ノーベル文学賞に独作家ミュラー氏
「疎外された人々を描写」
スウェーデン・アカデミーは8日、2009年のノーベル文学賞をドイツの女性作家ヘルタ・ミュラーさん(56)に授与すると発表した。
「濃密な詩と、散文の率直さにより、疎外された人々を描写した」ことが授賞理由となった。賞金は1000万クローナ(約1億3000万円)。授賞式は12月10日に行われる。
ミュラーさんは1953年、ルーマニア西部バナート地方でドイツ系家庭に生まれた。父親は第2次大戦中、ナチス武装親衛隊で兵役を務め、母親は45年にソ連の収容所に連行された。ティミショアラ大学でドイツとルーマニアの文学を学ぶ間、チャウシェスク大統領の独裁に反発し、言論の自由を求める運動に参加。工場の翻訳者となったが、秘密警察への情報提供を拒んで解雇され、失職。こうした体験を作品に投影した。
ルーマニアの小さなドイツ系社会における腐敗や不寛容、抑圧などを題材にした短編集「泥沼の世界」を82年に発表。ルーマニアでは検閲対象となったが、検閲前の版がドイツ語圏で高く評価された。84年には作風を危険視した当局がミュラーさんの国内での出版活動を禁止。このため、87年に夫と西独へ移住した。その後も「緑の梅の土地」(94年)などで独裁下の民衆の窮状を描いた作品を発表。ヨーロッパ文学賞など多くの文学賞を受賞した。日本では「狙われたキツネ」(92年)が翻訳されている。