古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

川はどこにあるのか?

現象に関する覚え書き
本覚思想とは時間論/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 1 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ
湯殿川を眺める
「異民族は皆殺しにせよ」と神は命じた/『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹
死の恐怖/『ちくま哲学の森 1 生きる技術』鶴見俊輔、森毅、井上ひさし、安野光雅、池内紀編

 ・川はどこにあるのか?

『川と人類の文明史』 ローレンス・C・スミス
『ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想入門 豊かな人生の技法』ウィリアム・ハート

 川を見る。次から次へと流れ去る水を見つめる。川はどこにあるのだろう? 川を自宅に持ち帰ることはできない。とすると川に実体はないのだろう。水が干上がれば、それは川ではない。つまり川が流れているのではなく、流れそのものが川なのだ。私の目の前にあるのは「川という現象」だ。

 打ち上げ花火を見る。一筋の光が天を目指し、爆発する。地面を揺るがす音と共に七色の炎が放射状に広がる。光の雫は重力に抗えず、垂れかかった涙のように闇の中へ消えてゆく。夜空に花火の残像が浮かぶ。花火もまた現象である。

 花を見る。やがて花は枯れる。遂に跡形もなくなる。花という現象。人を見る。人の一生を見る。やがて人は死ぬ。骨も消え去る。人という現象。私も川も現象である。実体はない。あるのは流動性だけ。変化こそ本質である。これを諸行無常という。

タレーラン「愛国心は悪人の最後の逃げ場」

 謀略外交で有名な19世紀フランスの外交官タレーランは、「愛国心は悪人の最後の逃げ場」と述べたというが、それは現代にも当てはまる。


【『北方領土 特命交渉』鈴木宗男佐藤優講談社、2006年/講談社+α文庫、2007年)】


 元々はサミュエル・ジョンソンの言葉かもしれない。


愛国心への疑問/『イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド』小田嶋隆


林則徐が生まれた日


 今日は林則徐が生まれた日(1785年)。清国はアヘンにまみれていた。腐敗しきった官僚は商人からアヘンの一部をせしめていた。林則徐がこれを一掃。イギリス商人のアヘンを没収し1400トンを焼却処分。林則徐からの貿易拒否によって英国は阿片戦争を起こす。この時、英議会で反対したのはグラッドストンだった。


林則徐―清末の官僚とアヘン戦争 (中公文庫) 林則徐