米当局がイランにサウジ大使暗殺の怪しげな容疑をかけ、イランとの緊張感を高めているのは、まさにイスラエルがハマスとの捕虜交換で独自にパレスチナ和平を推進しようとし始めた矢先に起きている。ハマスはイランから支援を受ける親イラン勢力だ。米国とイランの緊張が高まると、イスラエルは米国に味方してイランを非難し、ハマスはイランに味方して米イスラエルを非難する傾向を強めざるを得ない。今の状況下で米国がイランとの敵対を煽るのは、イスラエルにとって迷惑なことだ。しかも米政府は最近、イスラエルに「冬がくる前の2カ月以内に、イスラエルがイスラエルの核施設を空爆した方が良い。ぼやぼやしていると、ドイツなど欧州諸国がイランと仲直りしてしまう」と、イランとの戦争をけしかけている。
【田中宇〈たなか・さかい〉 2011年10月17日】