古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

総理は何故ころころ代わるか

 戦後の一時期、占領軍は日本を本格的に民主化しようとした。しかし冷戦が始まるとすぐに方針を変えた。ソ連情報に精通した旧軍勢力を温存する必要が生まれ、民主化とは裏腹の事をアメリカは始めた。民主化のために排除すべき勢力や戦前の支配構造を密かに存続させたのである。
 ところが「戦前は軍国主義、戦後は民主主義」という情報の刷り込みによって、国民は戦後の日本を民主主義と思い込まされた。その思い込みが日本の構造を見えなくする。民主主義とは異質の国と見ないと、この国の構造は見えてこない。


田中良紹〈たなか・よしつぐ〉】