群衆は一時にどっとあふれ出す異常な力のほうを好む

 もののうわべばかりを見ている人からは、いかにも気力がないと非難されるくらい、その社会では心臓の鼓動が規則正しいのだ。群衆というものはたいてい、いつまでもひとしい度合でつづいていく力よりも、一時にどっとあふれ出す異常な力のほうを好むものである。群衆は、変化にとぼしい形の下に隠された無限の力、というようなものを確認するだけの時間も忍耐も持ち合わせていない。


【『「絶対」の探求』バルザック/水野亮訳(岩波文庫、1939年)】


「絶対」の探求 (岩波文庫)