「ケアの消費」という時代

 一方、経済あるいは消費の側からみると、(中略)今後もっとも拡大していくのは、医療・福祉を含む「対人社会サービス」すなわち「ケア産業」なのである。だとすれば、「生命」と「ケア」ということが、これからの経済社会の基本的な概念となるのであり、それはおそらく近代以降の経済発展の最終ステージと考えてよいと思われる。そして、消費あるいは経済という観点からみれば、いま私たちは「ケアの消費」という時代に入ろうとしている。つまり、


 モノの消費(食物など)
   ↓
 エネルギーの消費(電力・ガスなど)
   ↓
 情報の消費(デザイン、本、ブランド、各種メディアなど)
   ↓
 ケアの消費


 ということが、いわば重層的に積み重なった社会として、現代という時代をとらえることができるのではないだろうか。


【『ケアを問いなおす 〈深層の時間〉と高齢化社会広井良典ちくま新書、1997年)】


ケアを問いなおす―「深層の時間」と高齢化社会 (ちくま新書)