古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

スウィフト、レイ・カーツワイル


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折4『ガリヴァ旅行記』スウィフト/中野好夫訳(新潮文庫、1951年)/後回し。


 6冊目『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるときレイ・カーツワイル井上健監訳、小野木明恵、野中香方子〈のなか・きょうこ〉、福田実訳(NHK出版、2007年)/神本。600ページで3000円は破格の値段だ。章立てが短く読みやすい。エピグラフと戯曲もセンスが光っている。テクノロジーが指数関数的に飛躍し、「特異点」(シンギュラリティ)に達する。ナノテクノロジーによって極小化したコンピュータチップが人間に埋め込まれる。これがバージョン2.0だ。2040年頃には実現するとカーツワイルは予測している。ここで終わらないのが本書の凄いところ。何とバージョン3.0という未来をも見つめているのだ。脳と身体の情報を完全にコピーすることが可能になれば、それはコピーではなく私である。最終的にはナノ化した知性が宇宙全体に広がり、一体化するという。SFよりもスリリングな論考だ。