2011-01-20 貧困な性行為 抜き書き 男と女の交流の一形式でなくなった性行為は必然的に貧困なものとなった。それが、女にとっては屈辱でしかないことは、この前に述べたが、男にとっても、豊かな歓びをもたらすものではなくなり、女の肉体という道具を使った孤独な快楽、いわば、手の代わりに膣を使ったマスターベーションに過ぎなくなった。 【『続 ものぐさ精神分析』岸田秀〈きしだ・しゅう〉(中公文庫、1982年/『二番煎じ ものぐさ精神分析』青土社、1978年と『出がらし ものぐさ精神分析』青土社、1980年で構成)】 岸田秀