古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ピュタゴラスにとって音楽を奏でるのは数学的な行為だった

 ピュタゴラスにとって、音楽を奏でるのは数学的な行為だった。四角形や三角形と同じく、直線は数=形であり、弦を二つの部分に分けるのは、二つの数の比率をとるのと同じことだった。モノコードの調和は数学の調和――そして宇宙の調和――だった。比は音楽ばかりでなく、あらゆる種類の美を支配しているとピュタゴラスは結論づけた。ピュタゴラスによって、比は音楽の美しさ、肉体の美しさ、数学の美しさを支配していた。自然を理解するのは、比率の数学を理解することに尽きた。


【『異端の数ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念』チャールズ・サイフェ/林大訳(早川書房、2003年/ハヤカワ文庫、2009年)】


異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)