古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

だから、もっと人殺しの顔をしろ

 私がより安いものを買うたびに、誰かの食事はその分だけ惨めなものになり、私がワンクリックでなにかできるようなったとき、かつてそれらを担っていた何人かの人間は職を失って首を吊る。ワンクリックでなにかできるようにする仕組みを作る人間は少なくていい。もう要らなくなる。人間の価値は日に日に安くなり、人間は不要なものになっている。私は知らず知らずに行ってきて、いまそれに気づいたところで、やはりそれをやめない、やめられない。買い叩かなければ、私は食えない。貧乏人は共食いをするしかない。


 デフレというのはものの値段が下がることかと思っていたが、一番安くなってるのは人間の価値じゃないのか。


 私はこの世界のさらに富めるもの、優秀なもの、大きなものからそのような仕打ちを受けているし、その仕打ちをさらに貧しいもの、劣るもの、小さなものに与える。私は富めるもの、優秀なもの、大きなものを憎悪する、殺意を抱く。それと同じ憎悪や殺意は同時に後ろから、下から私に浴びせかけられる。上等じゃないか、人殺しの顔をしろ、お前も、俺も、俺もあんたも。


○内○外日記プラス+