副題は「『最初の2秒』の『なんとなく』が正しい」。あれやこれやと悩んだ末に下した判断が間違えていた、という経験は誰にでもあるだろう。米国のジャーナリストであり、ヒット商品や購買者心理の研究などで知られる著者は、長時間考えてたどり着いた結論よりも、最初の直感やひらめきによって、人は物事の本質を見抜いていることが多いのではないかという疑問を抱いた。調査を進めると、それを裏づける数多くの事例や学術的根拠が存在することがわかったという。
芸術作品を一目見ただけで「贋作だ」と判断する人々がいる。そのように理屈ではなく一気に結論に達する脳の働きを「適応性無意識」と呼び、身体が持つ五感の延長線上にある「第六感」とは区別して解説する。夫婦の何気ない15分の会話を記録したビデオから、15年後の関係をほぼ予測し得るという心理学者がいる。「勘」や「経験」など曖昧な論拠ではなく、夫婦の1秒ごとの表情やしぐさを徹底的に分析した結果を示すのだという。
それとほぼ同様の作業を、我々の脳が瞬時に行っているとしたらどうか。日常生活やビジネスなどから様々な事例を示しつつ、「数秒の中にある一生を左右する判断の力」を理解し磨く方法を指南する。