視覚は現実世界そのものを理解するために働く

 視覚は、外界に眼を向け、頭のなかの画面にその映像を映し出すことにとどまるわけではない。私たちの脳は、外界を再現するだけではなく、それを理解しなければならない。実際、脳は、居間のテレビに映し出されている映像を理解するために懸命に働く必要があるのと同じように、現実世界そのものを理解するために働く必要がある。つまり、脳のなかにテレビ画面があると仮定しても、説明したことにはならない。(私たちの頭のなかの画面をいったいだれが見ているというのだろう?)しかし、もっと根本的な問題は、私たちが視覚的に体験していることだけがいま見えているものではない、ということである。視覚のもっとも重要な働きのなかには、意識にのぼらないものもあるからだ。


【『もうひとつの視覚 〈見えない視覚〉はどのように発見されたか』メルヴィン・グッデイル、デイヴィッド・ミルナー/鈴木光太郎、工藤信雄訳(新曜社、2008年)】


もうひとつの視覚―〈見えない視覚〉はどのように発見されたか