アメリカの単独行動主義的な外交路線を支えているのが、世界で突出した比類なき軍事力である。3991億ドル(2004年度)という軍事予算は全世界の4割以上を占め、第2位のロシアの6倍以上にものぼる。これはアメリカが名指しで「ならず者国家」と呼んだイラクや北朝鮮といった7カ国の合計の実に26倍以上という数字だ。
総兵力という面でも140万の正規軍、250万の予備役と州兵(アメリカでは各州が軍隊を持っている)という数字は他国を圧倒している。第二次世界大戦勃発時点のアメリカでも兵力は17万人に過ぎない。現在、アメリカは何らかの形で実に全世界の130カ国、750カ所に自国の軍隊を駐留させている。これらの軍事的展開は冷戦時代であれば「共産主義国家であるソ連の全体主義から民主主義国家を守るため」という大義が通用したが、冷戦が終結して以来、その意味は大きく揺らいでいる。
【『世界反米ジョーク集』早坂隆(中公新書ラクレ、2005年)】