古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

『エスの系譜 沈黙の西洋思想史』互盛央(講談社、2010年)



エスの系譜  沈黙の西洋思想史 (学芸局Dピース)

「考える」「思う」の主語は何か。「思われること」は、本当に「私に思われ」ているのか。「私」を「捏造」したデカルトは、すでにこの問いを封印していた。しかし、近代以降、この沈黙の事象に対する哲学者たちの悪戦苦闘が始まった。リヒテンベルクに始まりフォイエルバッハニーチェフロイトへと続く第一の系譜。一方、フィヒテに分かれシェリングビスマルクに流れる第二の系譜。「人」とも「言語」とも「普遍的なもの」とも呼ばれながら、究極“それ”としか名づけようのない何ものかを巡って、人間存在の不思議を考え抜いた思想家たちの系譜を辿る。