14日付の米紙ニューヨーク・タイムズは米司法省の秘密報告書の内容として、第2次世界大戦後に米政府当局がナチス・ドイツの残党に米国内の「避難場所」を提供していたと伝えた。
同紙によると、これまでにも米情報当局がこれら残党を利用していたことは知られていたが、政府の関与がこれだけ詳細に明るみに出たのは初めてという。
報道によると、秘密報告書は約600ページで約4年前に作成。情報公開法に基づき先月、民間調査機関に公開されたが、削除された部分が多く、同紙は独自のルートで全文を入手した。
報告書は米政府がナチス残党の過去を知りながら入国を許したケースがあるとし「米国は迫害を受けた者の避難の場であることを誇りにするとともに、小規模ながら、迫害者の退避場所にもなっていた」と分析した。
一例として、ナチスのロケット工場における強制労働に関与した後、米国に渡って宇宙計画に参画したロケット科学者のアーサー・ルドルフ氏(1996年に89歳で死去)について「当初考えられていたよりずっと積極的に強制労働にかかわっていたことが後に判明した」と指摘した。
- アメリカ経済界はファシズムを支持した/『アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか』菅原出