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鳩山由紀夫と秘書問題

コラム 鳩山論文を読む「お見合い問題」


 鳩山さんの論文「生活の中における情報と意思決定」は同志社大学の学生に向けた講演録で、「Journal of Culture and Information Science,1(1),3745.(March 2006)」という雑誌に掲載されている。ここでは、その論文から「お見合い問題」を取り上げて解説してみたい。
 お見合い問題は、別名「秘書(採用)問題」、「海辺の美女(ナンパ)問題」とも言われ、要するに、何名かの候補の中から最適な人を選ぶための数学の問題だ。お見合いにしろ、秘書にしろ、海辺の美女にしろ、「この人がいい」と決めた瞬間に、それ以降に登場する(はずだった)人々には会えない点がミソだ。また、あらかじめ「何人に声をかける(面接する、お見合いする)」かを決めておく。タイム・イズ・マネー。だらだらと時間をかけることは許されない。そして、これも肝心な点だが、一度不採用(声をかけない、交際を断る)と決めた人に、後から「やっぱりあなたがいい」と言っても通用しない。もちろん、「保留」として唾をつけておくことも許されない。
 よろしいでしょうか? 時間は限られているし、相手にも都合ってものがあるのだから、自分勝手にえり好みをすることは許されないのだ。
 このような制約条件のもとで、「仮に全員と面接(お見合い、ナンパ)できたとして、自分にとって最高の相手を射止めるには、どのような戦略をとればいいのか?」というのが鳩山論文に出ている「お見合い問題」なのだ。(中略)
 さて、もっとずっと人数が多くなったらどうだろう? 実は、その場合、「最初の37%の候補は観察するだけにし、それ以降、蓄積されたデータを元に、少しでも上の人が出てきたらその場で決める」が最適戦略であることがわかっている。そして、面白いことに、最愛の人を射止める確率も約37%なのだ。この「37%のデータ収集で37%の成功」という法則は覚えておいて損はない。


【『鳩山由紀夫の政治を科学する 帰ってきたバカヤロー経済学』高橋洋一竹内薫インフォレスト、2009年)】


鳩山由紀夫の政治を科学する (帰ってきたバカヤロー経済学)