『時間と自己』木村敏(中公新書、1982年)



時間と自己 (中公新書 (674))

 時間という現象と、私が私自身であることとは、厳密に一致する。自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉え、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生を跡づけ、さらに精神病理学的思索を通じて、悲痛は健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見てとる。前夜祭的時間、あとの祭り的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間──「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。