古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

「夏の終わり」SION

 他人を期待して 不平不満ばっかり言うような奴等は俺達に触るな
 腑抜けたラップを聴く暇があったら 俺は真っ先にSIONを聴く


 Tha Blue Herbが「孤憤」で歌ったSIONだ。


「我が道」はアウトサイドにある。なぜなら、社会のメインストリームを築いているのは権力者であるからだ。彼らは大衆を自分たちの規格内にはめ込む。出る杭は打たれ、ムダな毛は剃られる。


 尾崎豊なんぞがアウトサイダーだと思ったら大間違いだ。彼は子供に過ぎない。SIONのささくれ立った声に馴染むのは時間が掛かる。だから取り敢えず、彼の言葉に耳を傾けて欲しい。


 落伍した者が耐える重力。足の裏と地面との間に通うエネルギー。重荷を背負った者だけが知る大地の温もり。孤独と孤独がふれ合う瞬間をSIONは切り取る。


 人の姿が透明化して見えにくくなっている。こんな時代には、どうしてもSIONの歌が必要だ。






東京ノクターン