日本の政財界に暴力とカネで君臨した右翼・児玉誉士夫。戦中、中国で“児玉機関”を設立し莫大な資産を形成。戦後はそのカネで鳩山一郎をバックアップ、保守政党に絶大な影響力をもつ。左翼に対抗すべく全国のヤクザの糾合をはかる一方、フィクサーとしても暗躍。その最たるものが「ロッキード事件」である。「事件の陰に児玉あり」と語られた戦後最大の黒幕が操った昭和裏面史。
田中角栄の“刎頚の友”であり「昭和の政商」と呼ばれた小佐野賢治。極貧の育ちから徹底した拝金主義者となり、一代で国際興業グループを築く。横井英樹、児玉誉士夫ら大物フィクサーと三つ巴の乗っ取り劇を多数繰り広げ、その個人資産は前例のない巨額に。「ロッキード事件」で撃沈されるも、最後は帝国ホテル会長就任の悲願を達成した。政治家を食いつくした男のあくなき成功欲と支配欲。
巨大組織「稲川会」を一代で築いた稲川聖城。19歳で任侠界に入り、戦後の混乱期、外国人の暴力で無法地帯と化した街を救う一方、愚連隊を次々と傘下に収め、組を急成長させる。関東進出を狙う山口組、右翼・児玉誉士夫の野望、警察庁の暴力団頂上作戦―血の抗争と制圧! 日本の深部を牛耳った男の激動の秘録。
老舗デパート「白木屋」騒動で乗っ取り屋元祖となった横井英樹。赤貧の生い立ちからカネと栄誉を求め、東急グループ・五島慶太と組んで乗っ取りに次ぐ乗っ取りで大旋風を巻き起こす。安藤組の襲撃にもその猛進は止まらず、ついに「ホテルニュージャパン火災」で有罪に。企業を喰い荒らした欲望の虚業家の、悪の錬金術と執念。
株主総会を舞台に、人事とスキャンダルで合法的に荒稼ぎをした総会屋。大企業に深く食い込み、裏支配する日本独特の存在である。広島県出身者の武闘派集団「広島グループ」を率いた小川薫。第一勧銀と四大証券から巨額の利益供与を受けた小池隆一。日本最大の「論談同友会」を組織した正木龍樹。大物総会屋がとりしきった闇経済の構図。
田中金脈、日本船舶振興会疑惑、三越乱脈経営、リクルート…大手マスコミに先駆けて闇情報とスキャンダルを嗅ぎつける“ブラックジャーナリスト界の帝王”五味武。蛇の目ミシン株仕手戦で小佐野賢治に打ち勝ち、稲川会と組んで企業を喰い荒らす小谷光浩。政財界謀略事件史の中枢を占める大事件を操る者は誰か。